バイオナフサとは?
朝コンビニで買った飲み物のボトル。
ネット通販で届いた梱包材。
お弁当の容器やレジ袋。
私たちの生活はプラスチックなしでは成り立たないと言っても過言ではありません。
しかし、その便利さの裏で大きな問題となっているのが環境負荷です。
最近では「石油を使わないプラスチック」が世界中で注目されています。
その中心にあるのがバイオナフサという素材です。
実は、家庭や飲食店から出る廃食用油が、将来あなたのスマートフォンケースや化粧品容器として戻ってくる可能性があるのです。
今回は、脱炭素時代の重要技術として期待されるバイオナフサについて、できるだけわかりやすく解説していきます。
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バイオナフサとは何か
まずは「ナフサ」から理解してみましょう。
ナフサとは原油を精製した際に得られる液体原料です。
石油化学産業では非常に重要な存在で、プラスチックや合成繊維、ゴム製品の原料になります。
ナフサを高温で分解すると、エチレンやプロピレンといった基礎化学品が作られます。
そしてそれらがポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチックへと変化していくのです。
つまり現代のプラスチック社会はナフサによって支えられていると言えます。
一方で従来のナフサは石油由来です。
石油を掘り出し、運び、精製し、最終的に焼却するまでの過程で大量の二酸化炭素が排出されます。
そこで登場したのがバイオナフサです。
バイオナフサは植物や廃食用油などの再生可能資源から製造されるナフサを指します。
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なぜ世界が注目しているのか
現在、世界各国ではカーボンニュートラル政策が進んでいます。
日本でも2050年カーボンニュートラル実現が国家目標となっています。
そのため化学産業にも大きな変化が求められています。
植物は成長過程で大気中の二酸化炭素を吸収します。
その植物由来の油からプラスチックを作れば、最終的に焼却しても吸収した炭素を戻すだけになります。
この考え方をカーボンニュートラルと呼びます。
もちろん完全にゼロではありませんが、化石資源由来と比較すると環境負荷を大きく下げることができます。
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どんな原料が使われるのか
バイオナフサの原料は意外と身近なものばかりです。
| 原料 | 主な発生源 |
|---|---|
| 廃食用油 | 飲食店・家庭 |
| 大豆油 | 農業生産 |
| 菜種油 | 農業生産 |
| パーム油 | 熱帯地域 |
| 動物性脂肪 | 食肉加工 |
| 微細藻類油 | 次世代技術 |
近年は食料との競合を避けるため、特に廃食用油の活用が重視されています。
日本でも回収システムの整備が進みつつあります。
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廃食用油がプラスチックになる仕組み
ここが最も面白いポイントです。
揚げ物に使った油がどうやってプラスチックになるのでしょうか。
現在主流となっているのがHVO技術です。
正式名称はHydrotreated Vegetable Oil。
日本語では水素化植物油処理技術と呼ばれます。
植物油の分子には酸素が含まれています。
しかし石油由来ナフサは炭素と水素が中心です。
そのため、まず酸素を取り除く必要があります。
高温高圧環境で水素を加え、触媒を利用して脱酸素反応を行います。
すると植物油は石油由来ナフサとほぼ同じ化学構造へ変化します。
その後は既存の石油化学設備で処理できます。
新しい工場を建設する必要がないため、実用化が進みやすいのです。
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循環型社会を支える技術
従来の経済モデルは、
採掘
↓
生産
↓
消費
↓
廃棄
という一方向型でした。
しかし今後求められるのは循環型社会です。
回収
↓
再利用
↓
再資源化
↓
再生産
というサイクルが重要になります。
廃食用油はその象徴とも言える存在です。
本来なら捨てられるだけだった油が、新たな製品へと生まれ変わるからです。
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石油由来ナフサとの比較
| 項目 | 石油由来ナフサ | バイオナフサ |
|---|---|---|
| 原料 | 原油 | 廃食用油・植物油 |
| 炭素源 | 化石資源 | 再生可能資源 |
| 持続可能性 | 限りがある | 再生可能 |
| CO₂排出 | 高い | 低減可能 |
| 品質 | 高い | 同等品質 |
| インフラ | 既存設備 | 既存設備利用可能 |
| コスト | 安い | やや高い |
重要なのは品質です。
バイオナフサから作られたプラスチックは通常のプラスチックと性能が変わりません。
強度や耐久性も同じです。
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実は生分解性ではない
ここでよくある誤解があります。
バイオナフサ製プラスチックは生分解性プラスチックではありません。
原料が植物由来なだけで、完成したプラスチックの構造は通常品とほぼ同じです。
そのため自然界で勝手に分解されるわけではありません。
環境メリットは「炭素排出量削減」にあります。
ここは非常に重要なポイントです。
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世界市場の動き
すでに世界では巨大市場が形成され始めています。
フィンランドの企業である Neste は業界最大手として知られています。
廃食用油や動物性脂肪を活用した再生可能原料を大量生産しています。
日本でも
ENEOS
Mitsubishi Chemical Group
などが研究開発を進めています。
また韓国の
LG Chem
SK Geo Centric
も積極投資を行っています。
環境規制が強まる欧州では需要が急増しており、市場拡大が続いています。
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今後の課題
期待が大きい一方で課題もあります。
最大の問題は原料確保です。
食用油を大量に工業利用すると、食料価格への影響が懸念されます。
また持続可能性を重視しなければ森林破壊など新たな問題を生む可能性もあります。
そのため現在は、
・廃食用油
・農業廃棄物
・林業残渣
・微細藻類
など次世代原料の開発が進められています。
技術だけでなく原料調達の仕組みづくりも重要になっています。
バイオナフサを理解するためには、まず通常のナフサがどこで使われているのかを知る必要があります。その代表的な施設がNCC(ナフサクラッキングセンター)です。
NCCは石油化学産業の出発点とも呼ばれ、ナフサを高温で分解してエチレンやプロピレン、ブタジエンなどの基礎化学原料を生産します。
これらの原料はプラスチック、合成繊維、ゴム製品、洗剤、化粧品容器など、私たちの身の回りのさまざまな製品へと姿を変えていきます。
つまり、ペットボトルやレジ袋、スマートフォンケース、自動車部品の多くはNCCで生産された基礎原料から始まっていると言えるでしょう。
そのため、「ナフサ分解工場NCCとは?プラスチックが生まれる石油化学のしくみ」を理解することは、バイオナフサが既存の石油化学産業にどのように導入され、脱炭素化を進めているのかを知る上で非常に重要なポイントになります。
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コリのひとこと
バイオナフサの魅力は、単なる化学技術ではありません。
「ゴミを資源に変える発想」そのものに価値があります。
昨日の揚げ油が、明日のプラスチック製品になる。
そんな循環が当たり前になる社会は、意外とすぐそこまで来ているのかもしれません。
環境問題は大きすぎて難しく感じますが、実は身近な廃食用油の回収から未来が変わり始めているのです。
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参考資料
・経済産業省
・環境省
・国立研究開発法人 産業技術総合研究所
・Neste Sustainability Report
・国際エネルギー機関(IEA)
・国際持続可能性カーボン認証(ISCC)
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Q&A
Q1. バイオナフサ由来プラスチックは自然に分解されますか?
A1. いいえ。原料は植物由来ですが、完成したプラスチックは一般的なプラスチックとほぼ同じ構造のため自然分解はほとんどしません。
Q2. 廃食用油以外にはどんな原料が使われますか?
A2. 大豆油、菜種油、動物性脂肪、農業残渣、林業廃棄物、微細藻類由来オイルなどが利用されています。
Q3. なぜ通常のプラスチックより高価なのですか?
A3. 原料回収や精製、HVO処理など追加工程が必要なため、現時点では石油由来プラスチックよりコストが高くなっています。

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