顔面神経と三叉神経の病気
朝起きて歯を磨いていたら、口の片側から水がこぼれてしまった。
あるいは、洗顔で頬に少し触れただけなのに、電気が走るような激痛が起きた。
そんな症状が突然出ると、とても不安になりますよね。
実はその背景には、顔の感覚や表情を支える「顔面神経」と「三叉神経」のトラブルが隠れていることがあります。
私たちは普段、笑う・まばたきする・食べる・味を感じる・風を感じる――こうした当たり前の動作を無意識に行っています。
そのすべてを支えているのが、精密な神経ネットワークなんです。
今回は、日本でも患者さんが多い顔面神経麻痺や三叉神経痛を中心に、原因・症状・治療法までわかりやすく整理していきます。
脳神経の中でも重要な2本の神経
人の体には12対の脳神経があります。
その中でも、顔の機能に深く関わるのが次の2つです。
| 神経 | 主な役割 |
|---|---|
| 三叉神経(第5脳神経) | 顔の感覚、噛む動き |
| 顔面神経(第7脳神経) | 表情筋、涙、唾液、味覚 |
三叉神経は「感じる神経」。
顔面神経は「動かす神経」。
この2つが正常に働くことで、私たちは自然な笑顔や食事、会話ができています。
三叉神経とは?顔の感覚を支える神経
三叉神経は、顔の感覚を脳へ伝える大きな神経です。
3本に分かれて顔全体へ広がっています。
三叉神経の3つの枝
| 分枝 | 担当部位 |
|---|---|
| 眼神経 | おでこ、上まぶた、鼻周辺 |
| 上顎神経 | 頬、上唇、上の歯 |
| 下顎神経 | あご、下唇、下の歯、咀嚼筋 |
熱い・冷たい・痛い・触れた感覚を伝える大切な神経です。
三叉神経痛とは?
この神経に血管が接触して圧迫したり、刺激が加わると「三叉神経痛」が起こることがあります。
特徴は、突然の激痛です。
- 電気ショックのような痛み
- ナイフで刺すような痛み
- 数秒〜数分の発作的な痛み
- 歯磨き、洗顔、会話、食事で誘発される
日本でも高齢者を中心に多くみられ、最初は歯痛と勘違いされることもあります。
治療法
- カルバマゼピンなどの薬物療法
- 神経ブロック
- 微小血管減圧術
- 放射線治療(ガンマナイフ等)
顔面神経とは?笑顔を作る神経
顔面神経は、表情筋を動かす神経です。
たとえば、
- 笑う
- 目を閉じる
- 眉を上げる
- 口をすぼめる
こうした細かな表情は、顔面神経があってこそ可能です。
さらに、
- 涙を出す
- 唾液を出す
- 舌の前2/3の味覚を感じる
という役割もあります。
ベル麻痺(末梢性顔面神経麻痺)
顔面神経が炎症で腫れ、神経の通り道で圧迫されると、片側の顔が動きにくくなることがあります。
これがベル麻痺です。
主な症状
- 口角が下がる
- 水が口からこぼれる
- 片目が閉じにくい
- 額にしわが寄らない
- 味覚異常
- 耳の後ろの痛み
日本では寒暖差や疲労、ストレス後に発症したと感じる方も多いです。
ラムゼイ・ハント症候群
帯状疱疹ウイルスが顔面神経に影響すると、より重い顔面麻痺になることがあります。
- 顔面麻痺
- 耳の強い痛み
- 耳周囲の水ぶくれ
- めまい、難聴
早期治療がとても重要です。
三叉神経と顔面神経の比較
| 項目 | 三叉神経 | 顔面神経 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 感覚 | 運動 |
| 痛み | 強い顔面痛 | 少ない |
| 麻痺 | なし | 起こる |
| 味覚 | なし | あり |
| 代表疾患 | 三叉神経痛 | ベル麻痺 |
受診の目安は?
次の症状があれば、早めに医療機関へ相談しましょう。
- 顔の片側だけ動かない
- 急に口元がゆがんだ
- 顔に電撃痛がある
- 目が閉じにくい
- 味覚がおかしい
- 耳の痛み+顔面麻痺
脳卒中が隠れている場合もあるため、急な麻痺は放置しないことが大切です。
日常でできる予防習慣
神経トラブルを100%防ぐことはできませんが、リスクを下げる習慣はあります。
- 睡眠不足を避ける
- ストレス管理
- バランスのよい食事
- 禁煙
- 過度な飲酒を避ける
- 顔を冷やしすぎない
- 高血圧や糖尿病の管理
体全体の健康が、神経の健康にもつながります。
人の体でもっとも神秘的な器官は何かと聞かれたら、多くの人が「脳」と答えるかもしれません。
考えること、記憶すること、感情を抱くこと、体を動かすこと。
私たちのあらゆる活動の中心には、いつも脳があります。
近年は医療技術やAIの進歩によって、脳を理解するだけでなく、治療し、つながり、拡張する時代へと進み始めました。
今回は「脳科学ガイド:構造から脳工学まで」という流れの中で、脳の仕組みとこれからの可能性をわかりやすく見ていきます。
難しい学問としてではなく、私たちの生活と未来にどう関わるのかという視点で楽しく読んでいただければうれしいです。
コリコリ体験記のひとこと
顔の神経は、目立たないのに毎日ものすごく働いています。
笑顔ひとつ、食事ひと口、まばたき一回まで支えてくれているんですね。
だからこそ、違和感を感じたら我慢しすぎず、早めの受診が本当に大切なんです。
参考資料
- 日本神経学会
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
- MSDマニュアル家庭版
- Mayo Clinic Neurology
- Cleveland Clinic
- Nature Neuroscience
Q&A
Q1. 顔が急に動かなくなったらベル麻痺ですか?
必ずしもそうではありません。脳梗塞などでも顔の麻痺は起こります。突然の症状ならすぐ受診してください。
Q2. 三叉神経痛は歯痛とどう違いますか?
歯痛はズキズキ続くことが多いですが、三叉神経痛は電気が走るような短時間の激痛が特徴です。
Q3. 顔面神経麻痺は治りますか?
多くの方は改善します。特に発症早期に治療を始めると回復率が高いとされています。

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